真和館の生活

施設長挨拶

施設長 藤本 知彦

時間がゆっくり流れる空間づくりをめざして

 真和館が立地している西原村は、阿蘇の外輪山の南斜面に位置しており、真和館はその大自然の裾野の隠れた丘の上にあります。敷地面積9,548㎡(2,893坪)、建物床面積2,008㎡(608坪)という、広々としたゆとある空間が形成されています。周辺は緑に恵まれ、蒼い空の下、ゆっくりとした一日が流れ、彩り鮮やかに季節が移り変わっていきます。建物の内部も入所者の皆さまが「ゆっくり」と過ごして頂けるよう、部屋は個室となっており、公共部門も4つの食堂、3つの浴室、集会室(吹き抜けの天井)、学習室(視聴覚室・カラオケにも対応)、図書室、談話室、相談室、面談室、さらには十分な数(28ヶ所)と広さのトイレ等から構成されています。                          

 また真和館入所者の約6割がアルコール依存症者であり(薬物とギャンブルを入れると約7割)、さらに入所者のほとんどの方が精神疾患をお持ちであります。こうしたアルコールを中心とした依存症の方々には真和館ARP(アルコール依存症回復プログラム)を使用した回復支援や、統合失調症等の精神障がいに対する学習会や個人の障がいに応じた個別学習も開催しています。さらにはカウンセリング体制も整っており、アルコール依存症から回復したピア職員によるピアカウンセリングも実施しております。令和7年度は、施設開設から20年目にあたる節目の年になります。これまでの成果を生かし、「入所者サービス」や「安全・安心」は職員自ら創造し、創りあげて行くという理念のもと、様々な工夫をした取り組みを実践して参ります。

真和館の願い

 救護施設 真和館は、様々な理由で他の制度や他の施設で対応できない方が、安心して暮らせる施設であり、また人生行路につまづいたり、挫折した人にとっては、旅人が砂漠のオアシスで疲れを癒し新たな旅に出発するように、人生に再チャレンジするための支援ができる施設でありたいと願っています。

真和館入所者がめざすもの

真和館を
楽しい施設にしよう
明るい施設にしよう
緑のオアシスにしよう
真和館には、障害を持ったさまざまな人が居るけれど

助け合い、励ましあい、分かち合い
真和館を真心あふれる和やかな施設にしよう
真和館とのめぐり合いを喜び
世のため人のため自分のできることをして
有難うと感謝して暮らせる人になろう
真和館での出会いを大事にして
たとえ、何もできなくとも
やさしい言葉をかけましよう
笑顔で周りを照らしましよう
真和館を真心あふれる和やかな施設にしよう

くらしの目標

  • 施設の目標・・・時間がゆっくり流れる空間づくり
  • 職員の目標・・・入所者の思いを大切にした処遇
  • 入所者の目標・・・一日一日を大切にした、けじめのある生活

真和館の一日の流れ

真和館の入所者は、早い人が6時頃から、遅い人が7時頃に起きられ、喫煙は7時からとなっています。7時30分から朝食、8時50分からラジオ体操、9時から断酒の誓い、9時10分から掃除というスケジュールとなっています。10時20分から自彊術体操等の時間となります。また、その時間にアルコールや精神障がい等の学習会に取り組まれる人もおられます。

一方、9時前後から職員引率で通院が始まり、12時の昼食前後に帰って来られます。午後からは、月・火・木・金曜がお風呂です。その間に、通院や散歩に出かける人もいます。これらの合間には、個別学習会や様々な行事、クラブ活動が入ることになります。17時10分からは夕べの集いで一日の活動を締めくくります。夕食は17時45分からで、その後は自由時間となります。消灯が21時で、喫煙は21時30分までとなっており、就寝は22時からとなっています。

7:00~8:00起床・着替え・洗面
7:30~8:30朝食
8:40~8:50整容
8:50~9:00ラジオ体操
9:00~9:10断酒の誓い
9:10~10:00掃除(居室・廊下・その他)
10:20~10:50自彊術(健康体操)又は、輪投げ・ニチレクボール
10:20~11:30クラブ活動
11:45~12:00嚥下体操
12:00~13:30昼食
13:30~15:30入浴(月・火・木・金)
16:00~17:00余暇時間
17:10~17:25夕べの集い
17:30~17:45嚥下体操
17:45~19:00夕食
21:00~22:00就寝準備(21:30に玄関に鍵をかけます)
22:00~就寝

1.喫煙時間・・・・・7:00~21:30
2.散髪について・・・第3月曜の午前中(都合により変更あり)。
散髪料金:カットのみ1,200円
3.買物について・・・外出しての買物:第1・第3週の金曜日(コスモス大津店)と第2・第4週の金曜日(イオン大津店)
4.支給金について・・・原則毎月15日に、障害加算1級の方は21,000円、障害加算2級及び障害加算が無い方は14,000円を支給します。

《禁止事項》
1.飲酒は、一切禁止です。お酒の持ち込みも禁止です。
2.マッチ・ライター等を持つ事は一切禁止です。100円ライターを買ったり持ち込んだりしないように特にお願いします。
3.携帯電話は、原則所持禁止です。
4.大便器には、トイレットペーパー以外は絶対に流さないで下さい。
5.物や金銭の貸し借りはしないで下さい。                     

真和館一週間の流れ

【月曜日】
・入浴
・散髪(第3週)
・真和館アルコールDVD学習会
・心の健康教室
・調理訓練(月1回)
・就労準備訓練



【木曜日】
・入浴
・真和館女性アルコールミーティング
・歩こう会(ウォーキング)・山登り
・スイートピーの会(知的障がい者学習会)(第2、4週)
・ぐりーんぴーS(アルコール・薬物依存症学習会)
・AAさくらグループミーティング(第1週)
【火曜日】
・入浴
・心みがきの読書会(第1週)
・メッセージミーティング
 アルコール(第3週)
 ギャンブル(第2、第4週)
 アルコール特別ミーティング(第2、4、5週)
・真和館薬物ミーティング(第1、3週)
・益城病院断酒会(毎週)
・KUMARPP(クマープ)(第2、4週)
・卓球バレー
【金曜日】
・入浴
・第1、3週買い物(コスモス)
・第2、4週買い物(イオン)
・第2、4週通販配布
・ひまわりの会(統合失調症学習会)
・個別学習
・就労準備訓練

【水曜日】
・シーツ交換
・清掃日
・真和館アルコールミーティング
・菊陽病院オンラインミーティング(第2週)
・和田先生 心理面接(第1、3週)
・就労準備訓練


【土曜日】
・合唱クラブ
・映画鑑賞会
・心のオアシスタバコの会(隔月第4週)
・地域アルコール学習会(第4週)
【日曜日】
・合唱クラブ
・ニチレクボール・輪投げ
・歌おう会(カラオケ)

真和館の年間行事一覧

年始め式年1回
初詣年1回(健軍神社又は阿蘇神社を選択)
厄入り年1回(健軍神社及び阿蘇神社お参り、食事会)
還暦 年1回(健軍神社及び阿蘇神社お参り、食事会)
創立記念式典年1回(入所者・職員の意見発表を兼ねる)
誕生会毎月1回(館内行事後、レストランで食事)
対話集会毎月1回(入所者の要望・苦情を直接聞く会)
個別支援計画策定年1回(誕生月に策定、必要に応じ随時見直し)
避難訓練毎月1回
調理訓練毎月1回
健康診断年2回(日赤健康管理センター)
入所時健康診断随時(嘱託医)
健康・栄養指導年2回(健康診断の数値が出た時点)
インフルエンザ予防接種年1回
感染症予防勉強会年1回
口腔ケア勉強会年1回
旅行年3回(宿泊1回、キャンプ1回、日帰り1回)
食事会年3回(旅行との選択)
季節の花見学随時(桜、ツツジ、菖蒲、藤、コスモス、植木市等)
美術館見学随時(芦北町立富弘美術館、県立美術館等)
AA九州沖縄地域ラウンドアップ年1回
オープンスピーカーズミーティング年1回
アディクションフォーラム年1回
アルコール関連問題学会年1回
球磨人吉地域合同断酒大会年1回
断酒会関連行事随時
AA関連行事随時
GA関連行事随時
卓球バレー交流会随時(他施設等)
卓球バレー大会参加随時(県内の大会)
心みがき講演会年4回(外部講師による講演会)
スポーツ大会年2回(春・秋)
バーベキュー大会年2回(春・秋)
県障害者フライングディスク大会年1回
なかよし祭り年1回(年納めの演芸会)
のどじまん大会年2回
ゴールデンウィーク映画観賞会年1回(ゴールデンウィーク)
お盆映画観賞会年1回(お盆)
年末年始映画観賞会年1回(年末年始)
熊救協スポーツ交流会年1回
ボランティアとの交流随時
地域行事への参加随時(健康スポーツ大会など)
地域清掃(地域の区役)年2回(真和館登り口の清掃)
地域清掃(真和館独自)随時(真和館登り口の清掃)
餅つき年1回
年納め式年1回

施設設備

(1) 安全への配慮
①全館対応のスプリンクラーの設置
② 2階は建物の外周に広い避難路があり、建物を周回できる
③ 2階は東西2ヵ所の非常階段
④全室にナースコール設置
⑤廊下にクッション材(骨折しないように)
⑥窓ガラスに高透明熱反射・飛散防止フィルムを貼付

(2) ゆっくり暮らすための配慮
①全員が個室に入居可
②4つの食堂とユニット制の採用
③食堂・集会室・談話コーナー・ウッドデッキによるコミュニケーションの場の確保
④ 視聴覚対応の学習室、図書室
⑤トイレは大便所24ヵ所、小便所4ヵ所と数が多い
⑥浴室が3つ
⑦洗濯室には6台の洗濯機
⑧1階西食堂は全介助対応(ゆっくりした食事介助のため)
⑨エレベーターが大きい

(3) その他の特色
①ガラス窓はペアーガラス
②集会室の天井が吹き抜け
③木材の使用が多い
④ひさしが長い(雨や直射日光を和らげる)
⑤玄関の部分が盛り上がっている(雨・ゴミが建物に吹き込まないように)

(4) 心と体の健康をめざして
人が生きていく上で最も大切なことは、心身ともに健康であることです。そこで、真和館では、心と体の健康という視点から様々な行事やレクリエーションを組み立てています。
心の健康のためには、「ペン習字」、週に1回の「心みがきの読書会」「こころの健康教室」、月に1回の「茶道クラブ」に取り組むと共に、カラオケ・合唱・映画鑑賞会などにも力を入れています。
体の健康のためには、ラジオ体操・健康体操の自彊術体操、卓球バレー、散歩、あるいは雨の日でも可能なパークドームでのウォーキング、山歩き、スポーツ大会等も開催しています。

(5) アルコール依存症対策
真和館入所者の半分の方が、アルコール依存症者です。お酒を断つため
に、毎朝の「断酒の誓い」、毎夕の「夕べの集い」、毎週1回の「真和館アルコールミーティング」「真和館女性アルコールミーティング」を開催しています。
また、外部の自助グループのミーティングにも希望すれば、いつでも(夜でも可)、どこでも職員がお連れします。さらに、施設内には、先行く回復者としてピアカウンセリングが出来る職員が2名います。

(6) 健康管理
健康管理については、入所者との日々のコミュニケーションの中で、心や体
の変化の把握に努めるとともに、病院等との緊密な連携を図っています。健康診断にも力を入れており、春と秋の2回、健康診断を受け、その結果を嘱託医や主治医に報告するとともに、看護師と栄養士がデータに基づき個別に健康指導を行っています。
なお、喫煙についても、できるだけ節煙、禁煙していただくように指導に力を入れています(毎月1回、心のオアシスタバコの会を開催しています)。

(7) 給食について
給食については、嗜好調査を年2回実施するとともに、各ユニットの入所者代表と職員で「メニュー検討委員会」を開催し、入所者の嗜好や希望をできるだけ取り入れたメニューや調理方法にしています。
また、正月、お節句、ひな祭り、七夕、土用のうなぎの日等、季節にふさわしい特別食も提供しています。館内のスポーツ大会等の行事後には必ずバーベキュー大会を開催し、この日だけは体重を気にせずお腹一杯焼肉や野菜を食べることができます。
誕生日には、誕生者が希望される一品を、メニューの中に取り入れるようなこともしていますし、その月の誕生者をレストランに招待し、お好きな物を食べていただいています。

真和館アルコール回復プログラム(ARP)

真和館をオープンしてみますと、アルコール依存症者が入所者の半分近くを占めていたために、施設開設当初からアルコール依存症対策に力を入れた取り組みをせざるを得ない状況にありました。まずは、「飲まない、飲ませない」取り組みに注力した結果、4~5年もすると真和館で暮らしておられる限り、誰一人として飲まれなくなりました。
そこで、さらに、目標を高く掲げ、「地域に戻られてからも、飲まない」取り組みを始めることになりました。そして、施設開設10周年に当たる平成28年3月に、真和館で取り組んでいるアルコールプログラムを「真和館アルコール依存症回復プログラム(ARP)」として体系化し、取り纏めました。
なお、本プログラムは28年度以降、毎年確実に実行され、その有効性が確認されましたので、このプログラムを着実に実施するとともに、深化・充実させて参ります。
→真和館アルコール回復プログラム(ARP)

関連リンク先

法人・施設概要

( 1 ) 法人

法人名 社会福祉法人致知会
法人認可 平成17年10月7日
法人設立 平成17年10月11日
役員等 評議員9名 理事6名 監事2名
法人の目的 救護施設の経営(真和館)
養護老人ホームの経営(あそ上寿園)

( 2 ) 施設

施設名 救護施設真和館
施設の認可 平成18年4月28日
施設の種別 救護施設
入所定員 50名
職員数 28名(令和7年1月1日現在)
敷地面積 9.548m(2.893坪)
建物延床面積 2.008.56m(608坪)
部屋数 1人部屋62室 2人部屋1室
施設環境 阿蘇外輪山裾野(空港10分県庁30分)

真和館は18年が経過した比較的新しい施設で、しかも部屋は全員が個室に入居可なので、プライバシーが比較的に保たれています。入所者のみなさんは、ゆっくりとした時間の流れの中で、落ち着いた生活を送られています。

1階フロア平面図

2階フロア平面図

紙貼り作業・・・月曜日~土曜日

真和館クラブ活動紹介
真和館のクラブ活動やレクリエーション活動は、入所者のみなさんの声を聴きながら進めてきました。その結果、形も整い、現在活動中のクラブは歩こう会(山歩きの会)、自彊術、卓球バレー、心みがきの読書会、紙貼り作業、ペン習字、合唱クラブ、歌おう会(カラオケ)、茶道クラブ、映画鑑賞会があります。
訪問指導事業
真和館を退所された方は、殆どの方が、アルコールや精神に問題を抱えた方々です。そこで、真和館退所後も居宅を職員が訪問し、自立した生活が送れるように支援をする訪問指導事業」を平成26年4月に施設独自事業として立ち上げています。
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